デザインプラットフォームのFigmaが、オープンソースヘッドレスCMS(コンテンツ管理システム)「Payload」の開発チームの買収を発表した。この買収により、Figmaは開発者向けの機能を大幅に強化し、デザインから開発、デプロイメントまでの一連のプロダクト構築プロセスをより統合的にサポートする体制を構築する。
Payloadは、開発者コミュニティで高い評価を受けているヘッドレスCMSだ。柔軟なカスタマイズ性と優れた開発者体験を特徴とし、フォーチュン100企業をはじめとする多くの企業で採用されている。同システムは、強力なバックエンド機能と直感的な管理パネルを組み合わせており、開発者が必要に応じてあらゆる部分をカスタマイズできる点で他のCMSと差別化されている。
今回の買収は、Figmaが今年のConfig 2025で発表した「Figma Sites」の機能拡張と密接に関連している。Figma Sitesは、デザインから実際のウェブサイトやアプリケーションへの直接的な変換を可能にするサービスで、今後数ヶ月でCMS機能を追加予定だった。PayloadチームのノウハウとTechnologyを活用することで、マーケターやデザイナーがコンテンツを簡単に更新できるCMS機能を、開発者が求める高度なカスタマイズ性と同時に提供できるようになる。
Figmaの最高技術責任者であるクリス・ラスムッセン氏は、Payloadのオープンソースコミュニティへの貢献度とコミュニティとの密接な関係を高く評価している。同氏によると、PayloadはFigmaと同様に、コラボレーションとコミュニティフィードバックを重視した開発アプローチを取っており、両社の理念が自然に合致したという。重要な点として、Payloadはオープンソースプロダクトとして継続され、既存ユーザーには当面の変更はないと発表されている。
この統合により、Figmaはデザインと開発の境界をさらに縮め、アイデアから最終的なデジタル体験までのワークフローを一つのプラットフォームで完結できる環境の実現に近づく。AI技術の発展によりコードやコンテンツの生成が容易になる中、デプロイメント先の制御とエンドユーザー体験の細かな調整がより重要になっており、今回の買収はこの市場動向に対応する戦略的な動きと位置づけられる。