アドビ株式会社が実施した調査により、国内のビジネスパーソンがPDFファイルと生成AI機能の活用において顕著な業務効率化の効果を実感していることが明らかになった。同調査では、PDFの生成AI機能を活用したビジネスパーソンの8割が業務効率化を体感しており、特に法務部門での活用が急速に進んでいる実態が浮き彫りになった。
調査は2025年5月に実施され、日常業務でPDFファイルを月1回以上扱う全国のビジネスパーソン700名を対象とした。結果によると、全体の6割が10ページ以上の長文PDFを日常的に活用しており、文書から必要な情報を検索することに課題を感じているビジネスパーソンが全体の67.5%に達している。特に法務部門では87.0%、広報・マーケティング部門では80.0%が情報検索に困難を感じており、全体平均を大きく上回る傾向を示した。
PDFの生成AI機能活用状況を職種別に分析すると、法務部門の利用率が70.0%と最も高く、全体平均の40.6%を大幅に超える結果となった。契約書の条項チェックや法的リスクの分析など、高度な専門知識を要する業務において、AI技術による要点整理が実用的な価値を提供していることが示唆される。広報・マーケティング部門も57.0%と高い利用率を記録した一方、経理・財務・会計部門では20.0%に留まり、部門によって活用度に明確な格差が存在している。
生成AI機能の主要な活用目的として、「文書から知りたい内容を探すため」が61.3%と最多を占め、「文書内容を要約するため」が38.0%で続いた。しかし、活用における課題も浮上している。「AIの利用に関する社内ガイドラインの不在」が36.1%と最も多く、「情報の正確性への懸念」が25.9%、「情報漏洩リスク」が24.6%となっており、企業レベルでの整備と対策の必要性が明確になっている。アドビは今回の調査結果を受け、Acrobat AIアシスタントの信頼性と情報保護機能を強調し、企業の業務効率化支援を継続していく方針を示している。