MIT研究者チームが、ニューヨーク市全域における歩行者の移動パターンを包括的にマッピングした初の都市規模歩行者交通モデルを構築した。都市研究・計画学部のAndres Sevtsuk准教授が率いるこの研究は、学術誌『Nature Cities』に掲載されており、米国の都市で歩行者交通がこの規模で可視化されたのは史上初めてのことである。
ニューヨーク市では全移動の41%が徒歩で行われており、自動車の28%を上回る。市の気候行動計画「80X50」では、2050年までに全移動の80%を徒歩・自転車・公共交通にする目標を掲げている。にもかかわらず、歩行者の実際の動きは長年にわたって正確に把握されてこなかった。研究チームは市内すべての歩道、横断歩道、歩行者用通路をルーティング可能なデータセットとして整備し、ニューヨーク市交通局が2018〜2019年に記録した最大1,000区間の歩行者カウントデータを用いてモデル を校正した。
分析の結果、ミッドタウン・マンハッタンでは歩道区間あたり毎時約1,697人が通行し、ロウアー・マンハッタンの金融街では740人、グリニッジ・ビレッジでは656人という数値が示された。注目すべきは、ブルックリン・ハイツやブロンクス、クイーンズの各地域でも毎時222〜277人の通行量が確認された点である。マンハッタン外の多くの通りがマンハッタン中心部に匹敵する歩行者量を抱えながらも、インフラ整備における優先度が低く分類されている実態が浮き彫りとなった。
安全性の観点からも重要な知見が得られている。タイムズスクエアのような高密度エリアは歩行者一人あたりの事故リスクが比較的低い一方、高速道路インフラ周辺の低密度地域では不釣り合いに高い事故率が示された。この結果は、従来の交通事故総数に基づく分析では見落とされてきた危険地域の特定に貢献する。
このモデルの影響は既にニューヨーク市を超えて広がっており、ロサンゼルスでは2028年オリンピックに向けた計画に、メイン州では140以上の自治体の分析に活用が進められている。都市計画における歩行者データの空白を埋める画期的な研究として、今後のインフラ投資の意思決定に大きな影響を与えることが期待される。
出典: MIT researchers just mapped New York City foot traffic for the first time ever









