
メタファーとは?UIデザインにおける大前提
メタファーとは、直訳すると「隠喩」と言う意味です。UIデザインの世界では、現実世界に存在する物体や概念を平面的なデザインとして表現するときに、そのままの形で表現するのではなく、元となる物体が「連想されるような形」で表現します。例えば、オンオフを切り替えるためのスイッチUIは現実世界のスイッチを連想させような形でデザインされています。これは、初めてUIを使うユーザーであっても、現実世界でスイッチを使った経験からUI上のスイッチの役割を推測できるようにという思想で設計されています。
インターフェース・メタファーとその歴史的背景
特に前述したような、現実世界の物を似た形でUIデザインに取り入れるようなメタファーのことを「インターフェース・メタファー」といいます。インターフェース・メタファーは、20世 紀中盤にもともと専門的な作業を行うために使われていたコンピューターを一般の人が使えるようにと工夫を凝らす過程で生まれました。
初期のコンピューターにおける操作は、文字を使った対話形式のインターフェースを使ったものでした。これは、CUI(キャラクタベースユーザインタフェース)と呼ばれるもので、現在でもその汎用性の高さからエンジニアが専門的な作業をする時には広く使われています。映画のハッカーが黒い画面に文字を入力しているような描写がありますね。あのイメージです。
1984年のAppleのMacintoshの登場から、ディスプレイ、キーボード、マウスを搭載したコンピューターが一般にも普及するようになりました。この時代から、一般のユーザーができるだけ簡単に操作できるようにと進化してきたのがインターフェース・メタファーです。
このインターフェース・メタファーが最も顕著だったのは、「スキュモーフィズム」を取り入れたiPhoneの初期UIや、2000年代のWebデザインではないでしょうか?スキューモーフィズムとは、現実世界の物質に似せた表現を施したデザインのことです。例えば、メモアプリの背景を紙のようなテクスチャで表現したり、ボタンを3Dに見えるようにするに表現したりといった形です。それまで、画面上でのUI操作を経験したことがなかったユーザーに対して「わかりやすい」操作感を提供する方法としてはこのスキューモーフィ ズムが最適だったのです。