
ロイヤリティフリーとは?
ロイヤリティフリーとは、著作権や商標権などが存在する知的財産を利用する際、権利所有者へ支払う使用料を意味する「ロイヤリティ(Royalty)」が無料(フリー)であることを指した言葉です。カナ表記だと同じ言葉に「ロイヤリティ(Loyalty)」がありますが、こちらは顧客や従業員の忠誠心や帰属意識を指す言葉ですので意味が異なります。
ロイヤリティフリーの素材や作品は、素材や作品を使用するたびに料金が発生しないという特徴があります。しかし、一定の条件下では、素材の使用にあたって始めに別途ライセンス料が必要となる場合もあるため、利用時は利用規約の確認が必須です。
いずれにしても、他者が作成した優れた素材を、コストを抑えつつ自由に使用できるというロイヤリティフリーのライセンスは、デザイナーのクリエイティブな活動を助ける重要な仕組みと言えるでしょう。
著作権とは?
著作権とは、作品の創作によって自動的に発生し、作品の作者に帰属する権利です。文学・音楽・絵画・写真などの創作物に関して、作者が独占的にその利用を許可・制限できる法的権利を指します。この権利により、作者は自身の作品を、無断で複製・公開・改変などされることを防げます。
著作権の期間は、著作物を創作したときから起算し、著作者の生存している期間+死後 70 年間とされています。
ロイヤリティフリーと著作権フリーの違い
「著作 権フリー」と「ロイヤリティフリー」は、どちらも素材を利用する際に使用料を支払う必要がないという点では共通しています。しかし、以下の3点が明確に異なります。
著作権の所在
利用料金
利用時の条件
ロイヤリティフリー素材の著作権は、著作者が保有している状態です。しかし、利用許諾契約を締結することで、利用者は一定の条件下で素材を無料で利用できます。一方著作権フリーは、 著作権が放棄または消滅しているため、著作権者は存在せず、誰でも自由に素材を利用できます。
利用料金においては、ロイヤリティフリーの場合ライセンス料と呼ばれる利用料金が発生することがありますが、一度支払えば利用回数や目的に関係なく、契約範囲内で素材を自由に利用できます。それに対して著作権フリーは著作権が存在しないため、利用料金は発生しません。
また、ロイヤリティフリーの素材には利用許諾が設けられており、契約にもとづき利用できる範囲や方法などが定められています。利用規約を守らずに素材を利用すると、著作権侵害となる可能性があります。著作権フリーの場合、基本的に利用者自身の判断で素材を利用できます。
ただし、素材によっては利用規約が設けられている場合もあるので、素材配布サイトなどから使用する場合どちらのライセンスであっても確認は必要です。
ロイヤリティフリーとライツマネージドとの違い
ライツマネージドとは、使用権について管理されている素材のライセンスを意味します。一般的に、実在する著名人や著名や美術品や絵画などの作品は、使用に当たって厳格なルールを設ける必要があるため、ライツマネージドのライセンスが設定されます。
ロイヤリティフリーは使用の都度使用料が発生しませんが、ライツマネージドの素材を使用する際は、素材ごとにライセンス契約と使用料が必要です。また、ロイヤリティフリーは使用期間がありませんが、ライツマネージドは使用期間があります。加えて、ロイヤリティフリーの場合は使用履歴の管理などありませんが、ライツマネージドは、いつ・どこで・誰が・どのように使用されていたのかなど履歴管理されます。
ライツマネージドの素材を使用する場合、ロイヤリティフリー素材と比べて高額になりがちです。また、使用範囲が限定される自由度の低さは、デメリットとなり得ます。しかし、競合他社が同じ素材を使用する可能性は低く、独占使用できる場合がある点はメリットと言えるでしょう。
そのため、素材を使用する際は、ふたつのライセンスの違いを理解したうえで、適切な判断で使用しましょう。
クリエイティブ・コモンズについて
クリエイティブ・コモンズとは、著作権法の枠組みを踏まえながら、著作者が自身の作品をより自由に公開・共有できるようにするための、国際的な非営利団体およびプロジェクトの名称です。
著作権は創作した時点で自動的に発生し、他者の無断使用を制限します。この法律はクリエイターの権利を守る一方で、インターネットの普及により増加する、作品の共有や改変を歓迎するクリエイターの考えを阻害してしまう側面があります。そのため、クリエイティブ・コモンズは、クリエイターの柔軟な意向を支援するため、クリエイティブの自由度を確保するための活動を支援しているのです。
クリエイターは、クリエイティブ・コモンズを通すことで、自身の作品を「この条件であれば使ってもOK」と意思表示できるようになります。クリエイティブ・コモンズを通した著作物は、クリエイティブ・コモンズライセンスが付与され、非営利目的の利用や作品の改変に対する許諾など、クリエイターが設定する条件を明確に示せるようになります。
クリエイティブ・コモンズライセンス
クリエイティブ・コモンズライセンス(CCライセンス)とは、クリエイティブ・コモンズが策定した一連のライセンスを意味します。クリエイティブ・コモンズライセンスは、インターネット時代に適した新しい著作権ルールを提供するものです。
クリエイティブ・コモンズライセンスには以下4つの基本条件があります。
表示(BY)
非営利(NC)
改変禁止(ND)
継承(SA)
これらを組み合わせることで6種類のライセンスが生まれます。もっとも自由度の高い「表示」ライセンスから、ある程度の制限を加えた「非営利」や「改変禁止」、「継承」ライセンスまで、作品を流通させたい作者の意向に応じて選択が可能です。このライセンスシステムは、作り手の権利を守りつつ、作品がより広く共有されることを促進します。
なお、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、著作権法そのものを置き換えるものではありません。そのため、著作者の希望に反する利用がされた場合、法的措置が取られることもあります。ライセンス条件は、作品によって異なるため、利用前に必ず確認する必要があることを理解しておきましょう。
CC0(クリエイティブ・コモンズゼロ)ライセンスについて
CC0(クリエイティブ・コモンズゼロ)ライセンスは、上で説明したようなクリエイティブ・コモンズライセンスのように、何らかの制限を加えたものはなく、著作者が法的に可能な限りみずからの権利を放棄し、作品を公共の領域に提供したいと考える場合に利用できるライセンスです。
CC0を作品に適用することで、作品は法的に著作者のものではなくなり、どのような目的であれ、誰もが自由に使用できる状態になり、商用利用も可能になります。
CC0が放棄する中には、商用利用に関する権利も含まれるケースがあります。しかし、作品の利用によって、他の権利が侵害される場合や、何かしらの制約が発生する可能性がある点には注意が必要です。
「ロイヤリティ」と「商用利用可否」の関連性
素材の配布サイトを利用する場合、「ロイヤリティ」と「商用利用」の関連性については理解しておく必要があります。
「ロイヤリティ」は前述の通り、権利所有者へ支払う使用料のことです。ロイヤリティフリーであれば、使用料が無料である(使用の都度追加使用料が発生しない)状態を示します。一方「商用利用可否」は、素材を商業活動に使用できるかどうかという点にかかわります。
つまり、ロイヤリティフリーであることと、商用利用には直接の関連性はないということです。素材によってはロイヤリティがフリーであっても、商用利用は許可されていない場合もあります。また、素材を使用する際には著作権者のクレジット表記が求められることもあります。
いずれも、素材を使用する際、確実に把握しておかなければならない内容ですので、素材サイトなどを使用する場合は事前の利用規約確認を怠らないようにしましょう。
ロイヤリティフリーの素材配布サイトを紹介
ここでは、ロイヤリティフリーの素材を配布しているサイトをまとめて紹介します。
Pixabay
Adobe Stock
Shutterstock
Pexels
Unsplash
ぱくたそ
MotionElements
Audiostock
多様なジャンルの素材を揃えているサイトや、画像や音楽など特定ジャンルに特化した配布サイトもあります。なお以下の記事では、「動画素材かつ商用利用可能」という条件に絞り、厳選した配布サイトを紹介しています。あわせて参考にしてみてください。
【総合】Pixabay

「Pixabay」は、高品質なロイヤリティフリーの画像や動画を提供する総合的なプラットフォームです。ユーザーは会員登録も不要で、あらゆる素材を無料で自由に使用できます。Pixabay上の素材は、CC0で提供されているため商用目的を含むシーンでも利用可能であり、Webサイトや広告など、多岐にわたる活動をサポートします。Pixabayはクリエイターにとっても価値が高く、自身の作品を世界中のユーザーと共有できる点も特徴です。
【総合】Adobe StockPR

「Adobe Stock」は、数億点ものロイヤリティフリーのストックフォト・イラスト・映像・音声などを提供する、Adobeの総合素材サイトで、提供されている素材は幅広いプロジェクトに使用可能です。Adobe Stockのライセンスは、「通常ライセンス」・「強化ライセンス」・「拡張ライセンス」の3種類があり、いずれもロイヤリティフリーです。商用利用も可能ですが、「エディトリアル専用」と記載された素材データは、商用利用に制限がある点に注意が必要です。また、Adobeのソフトとの高い互換性がある点も魅力で、PhotoshopやIllustratorで直接素材を利用できるため、制作の効率化にも貢献します。
【総合】Shutterstock

「Shutterstock」は、4億7,500万点を超えるアセットを持つ、世界有数のロイヤリティフリー素材配布サイトです。画像プラン・動画プラン・音楽素材プランなど、配布素材にあわせた料金設定がされているため、特定のジャンルのクリエイティブが必要な場合にオススメです。エディトリアル素材以外は商用利用も可能であり、個人的な用途からビジネス利用まで柔軟に対応しています。
【画像&動画】Pexels

「Pexels」は、クリエイターが共有する無料写真素材やロイヤリティフリーの画像、動画素材を提供するプラットフォームです。Pexelsでは、高品質な写真や動画を誰でも自由に利用でき 、クリエイティブなプロジェクトや商用目的にも対応可能です。カンタンな検索機能と広範なカテゴリー分けにより、必要な素材を迅速に見つけ出せます。Webサイトやプレゼンテーション、SNSコンテンツなど、さまざまな用途に活用できるため、幅広いユーザーに支持されているサイトです。
【画像】Unsplash

「Unsplash」は、無料にもかかわらず、非常に美しい無料画像や写真を提供しているプラットフォームです。ロイヤリティフリーであることはもちろん、商用利用も可能なため、あらゆるプロジェクトでの利用が可能です。世界中のクリエイターからの寄稿により、自然や建築、ファッションまで、幅広いカテゴリの高品質な画像が集まっています。会員登録も不要となっているため、気軽にロイヤリティフリー画像を探したい方にオススメです。
【画像】ぱくたそ

「ぱくたそ」は、会員登録やダウンロード制限なしで利用できる、無料の写真素材・AI画像素材サイトです。ぱくたその特徴は、美しい日本の風景や日本人のモデルなど、国内のプロジェクトで使用しやすい素材が揃っている点です。また、商用・非商用問わず利用可能で、Webサイトや広告などさまざまな用途に活用できる点も魅力です。
【動画】MotionElements

「MotionElements」は、1000万点以上のロイヤリティフリー動画素材であり、After EffectsやFinal Cut Proなどの動画編集ソフトのテンプレートを提供しているサイトです。素材は5ドルからのリーズナブルな価格で提供されており、商用利用も可能です。フリーランサーから大企業まで、さまざまなニーズに応える柔軟なライセンスオプションを提供しているため、世界中のクリエイターに支持されています。
【音楽】Audiostock

「Audiostock」は国内最大級の音素材サイトで、96万点以上の著作権ロイヤリティフリーのBGM、効果音、ボイス・ナレーション音楽素材を提供しています。毎月数千点の新しい素材が追加されているため、常に新鮮なコンテンツが確認できます。素材形式はmp3やWAV形式で手軽に購入・ダウンロード可能で、1点660円から利用可能です。商用利用も可能で、一度の購入で永久に使用できるライセンス体系により、幅広いシーンでの活用が期待できます。
ロイヤリティフリーの素材配布8サイトの比較表
ここまでに紹介したサービスの特徴をまとめると以下の通りです。
まとめ
本記事では、ロイヤリティフリー素材と著作権フリー素材の違い、クリエイティブ・コモンズライセンス、そして商用利用可能なロイヤリティフリー素材を提供する代表的なサイトを紹介しました。
デザイナーやマーケターなど、高品質な素材を求めるクリエイターにとって、配布されているデザイン素材は貴重なものです。しかし、ロイヤリティに関する知識が浅いまま、インターネット上の素材を使用してしまうと、重大な事故につながりかねません。
使用する際は内容をしっかりと理解し、素材ごとに設定されている条件を確実に把握するように徹底しましょう。