デザインシステムの整備は、長らくプロダクトロードマップの優先度争いで静かに敗北し続けてきた。コンポーネントの負債は蓄積され、トークンの不整合は放置され、それでもプロダクトは出荷されていた。問題を肌で感じていたのは、デザインシステムを維持する少数のメンバーだけであった。
Config 2026でFigmaが発表した一連の新機能が、その構図を根本から変えようとしている。とりわけ注目すべきは「Check designs」機能である。これはファイル全体をデザインシステムと照合し、ハードコードされた値、WCAGに違反するコントラスト、デタッチされたコンポーネント、未購読ライブラリからのトークンなど、不一致をすべて検出してフラグを立てる。
この機能の本質的な意味は、デザインシステムの負債が数値として可視化されるという点にある。これ まで暗黙のうちに許容されていた技術的・デザイン的な負債が、レビューの場で誰もが確認できるスコアとして表示されるようになった。デザインシステムチームだけが抱えていた問題が、プロダクトマネージャーやエンジニアを含むチーム全体の課題へと変質したのである。
ただし、この仕組みには限界も存在する。例えば、無効化されたボタンの状態のように、意図的にWCAGの基準を満たさないケースも違反としてカウントされてしまう。数値は実態を反映しているが、純粋な負債の量を正確に示しているわけではない。運用にあたっては、意図的な例外と真の負債を区別する判断が求められる。
それでも、デザインシステムの負債が定量化され、組織全体に共有される仕組みが標準ツールに組み込まれた意義は大きい。これまでロードマップの議論で「優先度が低い」と退けられてきたデザインシステムの改善作業が、客観的なデータに基づいて主張できるようになった。Figmaのこの判断は、デザインシステムの価値を組織に認めさせるための重要な転換点となるだろう。
出典: Figma just made your design system debt everyone's problem









