Meta

「FigmaはもうDreamweaverだ」:完璧なキャンバスがデザイナーから奪うもの

2026.08.19編集部
「FigmaはもうDreamweaverだ」:完璧なキャンバスがデザイナーから奪うもの

Web Designer DepotのNoah Davisが、Figmaを2000年代初頭のMacromedia Dreamweaverになぞらえる挑発的な論考を発表した。かつてDreamweaverは、ドラッグ&ドロップの視覚的操作によって「HTMLやCSSを知らなくてもWebが作れる」と一世代のデザイナーに信じ込ませた。Davisは、Figmaの美しいキャンバスもまた同じ幻想を生んでいると指摘する。静的で心地よいキャンバスの中に閉じこもることで、現代のデザイナーは実際のWeb開発に対して無防備になっている、という主張だ。

第一の問題は、ブレークポイントの幻想である。Auto LayoutやVariablesはコードの機能を模してはいるが、Webの振る舞いそのものを再現するわけではない。375pxのモバイル、1440pxのデスクトップといった固定幅で設計すると、その間に広がる「巨大な死角」を見落とす。ユーザーが実際に体験するのは、アートボードとアートボードの間の無数の中間状態なのだ。

第二に、パフォーマンスの問題が不可視化される。Figmaは常に瞬時に、完璧にレンダリングしてくれる。しかし現実のWebには、フォントの読み込み遅延、Cumulative Layout Shift、画像の非同期表示といった、体験を大きく左右する要素がある。キャンバス上ではこれらが一切見えないため、デザイナーはその存在を意識しないまま設計を進めてしまう。

第三に、失敗状態への盲点だ。APIエラー、想定より長いテキスト、貧弱な回線。こうした「うまくいかないとき」の表示を、Figmaは自動的には見せてくれない。結果として、デザイナーが見落とした失敗状態を、実装するエンジニアがそのまま引き継ぐことになる。ピクセル単位の完璧な静的レイアウトに没頭するほど、動的な現実から遠ざかるという逆説がある。

Davisが求めるのは、ピクセルではなくシステムを理解するデザイナーだ。コンポーネントの構造、無数のUI状態にまたがる動的な振る舞い、デザイン判断がもたらすパフォーマンスへの影響、セマンティックなコード構造とアクセシビリティ。彼は、実際のコードでプロトタイプを組み、失敗状態を前提に設計し、デザインシステムをFigmaの中の孤立した成果物ではなく本番のコードへ直接対応させることを勧める。ツールが快適であるほど、その快適さが何を隠しているのかを問う姿勢が要る。

出典: Figma is the New Dreamweaver: How Modern Prototyping Tools are Trapping Us in 2018

最新のニュース

Latest News

  • 「FigmaはもうDreamweaverだ」:完璧なキャンバスがデザイナーから奪うもの
    Meta2026.08.19
    「FigmaはもうDreamweaverだ」:完璧なキャンバスがデザイナーから奪うもの
  • CMS連動のテスティモニアル・ヒーロー:GSAPタイムラインで作る動く「お客様の声」
    Webデザイン2026.08.19
    CMS連動のテスティモニアル・ヒーロー:GSAPタイムラインで作る動く「お客様の声」
  • 生成AIは「平均」を返すだけ:D&ADが警告する創造業界の静かな空洞化
    Meta2026.08.19
    生成AIは「平均」を返すだけ:D&ADが警告する創造業界の静かな空洞化
  • 「システム」を含む3択は要らない:ダークモード切り替えは2状態で十分という提言
    Webデザイン2026.08.19
    「システム」を含む3択は要らない:ダークモード切り替えは2状態で十分という提言

デジタルデザインの最新情報をお届け!

unprintedのメールマガジンにご登録いただくと、デジタルデザインの最新情報をメールで受け取ることができます。今までに配信したバックナンバーも公開中!

※登録ボタンを押すと利用規約に同意されたものとします。