Appleが、7月6日に配信したiOS 27ベータ3で、Siriの声を調整するための2つの設定を追加した。ひとつは話す速さを変える「ペース」、もうひとつは人間らしい感情の込め方を変える「表現力(expressivity)」である。生成AIを軸にSiriを再構築するAppleの取り組みが、ユーザーの手元に少しずつ姿を現し始めた。
操作の流れはシンプルだ。まず複数の異なるアクセントを持つ声のなかから好みのものを選び、続いてスライダーでペースと表現力を微調整する。「You have one new message(新着メッセージが1件あります)」といったサンプルのフレーズがその場で読み上げられ、確定前に響きを確かめられる。声のトーンを自分の感覚に合わせて仕立てられる設計だ。
この機能は以前のベータでは「近日公開」と表示されていたもので、ベータ3で実際に利用できるよ うになった。Appleはこれを、Siriをより自然で個人的な存在に近づける長期的な計画の一部と位置づけている。アシスタントを生成AIで作り直すなかで、声の質感そのものを体験価値として扱おうとしている。
もっとも、パーソナライズの幅では競合が先行している。ChatGPTは2025年12月の時点で、温かみ(warmth)や熱量(enthusiasm)に加え、フレンドリー・プロフェッショナル・率直・風変わりといったスタイルまで選べる。Appleが現時点で開放したのはペースと表現力の2軸にとどまり、慎重な一歩といえる。
音声アシスタントの「声色」をユーザーが調整できることは、ブランドボイスやトーン設計を考えるデザイナーにとっても示唆に富む。人格を感じさせる度合いをどこまで委ねるか、既定値をどう置くか。プロダクトの人格設計が、いよいよ設定画面のなかで問われ始めている。
出典: You can now customize Siri's pace and expressivity in the latest iOS 27 beta









