
ビジネスモデルとは?事業が利益を生み出すための仕組み。
ビジネスモデルとは、事業が利益を生み出すための仕組みのことです。簡単にいうと、事業が「何をしてお金を稼ぐか?」ということですが、それに加えて「どの市場で事業をするか?」や「どのように価値を提供するのか?」といった側面まで明確化されることで、事業の実行・継続可能性や収益性などの評価を客観的に行いやすくなるというメリットがあります。また、他社の事業をビジネスモデルの観点から分析することで、自社との違いや強み・弱みといった構造的な面を論理的に比較することもできるようになります。
ビジネスモデルを構成する6つの要素

ビジネスモデルとは、簡単にいうと事業が「何をしてお金を稼ぐか?」であると述べましたが、これをさらに細分化すると主に以下の6つの側面があります。このそれぞれの問いに答える形で、事業の構造を論理的に整理することで、表面化しにくい事業機会やリスクまで把握することができるようになります。
Where「どの市場で事業をするのか?」

どの市場で事業を行うのかは、事業の収益性のみならず、将来的な成長可能性にも大きく関係します。どの市場で事業をするのかを明確にすることで、市場の将来性などの環境要因まで評価することができるようになります。また、事業を行う市場が明確になると、他の市場に類似のサービスを提供することができるのか?他の国であればどうか?などといった問いも生まれてきます。
Who「誰から収益を得るのか?」

誰からというのは、対象を絞れば絞るほど事業の方向性が明確になります。例えば、「日本人全員」よりも「日本国内の大学生」の方がよりイメージが掴みやすいですよね。また、ユーザーに対して無料で動画を配信して、広告主から収益を得るようなビジネスのような場合は、サービスの利用者と顧客を混同しないように気をつけましょう。このような場合は、あくまでも無料の動画でユーザーを集めるのは後述の「How(どのように価値を提供するのか?)」、つまり手段に過ぎず、収益を上げると言う意味でのビジネスの対象は広告主となります。また、誰から収益を得るのかは一見単純な問いですが、そのビジネスモデルにおいて他の誰かから収益を得る方法はないのかという問いを生み出すという点でも重要です。
What「どのような価値を提供するのか?」

どのような価値を提供するのかは、簡単に言うと「何を売るか?」です。しかし、単純に売り物の名前を挙げれば良い訳ではない点で注意が必要です。ここで重要なのは、その事業において顧客が何に価値を感じるかと言う点です。例えば、コーヒースタンドのビジネスモデルで「What = コーヒー」と定義してしまっては、競合との比較のしようがありません。顧客が何に魅力を感じてそのコーヒースタンドからコーヒーを購入するのかという点を明確化した上で、提供価値を定義しましょう。例えば、「朝の通勤時間でも1分で提供できるハンドドリップのコーヒー」など、顧客視点でのその事業の特別な価値を明確にしましょう。
How「どのように価値を提供するのか?」

どのように価値を提供するのかは、新規のビジネスモデルにとっての重要な指標である「実行可能性」と「継続可能性」を評価する際に役立ちます。また、この「どのように提供するか」で競合との差別化を図ることができるかもしれません。例えば、コロナ禍の中で登場した「冷凍餃子の無人販売」ビジネスは、この「どのように」を最適化することによって運用コストを下げてビジネスモデルの強みとした例です。
When「どのようなタイミングで事業を行うのか?」

ここでいう「タイミング」とはスケジュールの話ではありません。既存のビジネスであればもちろん現在進行形で事業を行なっていますし、新規事業であれば1年後、2年後かもしれません。これを明確化してもあまり役には立たなそうですよね。ここでの「タイミング」というのは、大きな時の流れの中で見た中での「いつ」のことです。つまり、事業を行う「今」とはどのような時代なのかという環境要因の分析です。例えば、2022年に日本で事業を行うのであれば、「コロナ禍」「円安」「リモートワーク」などの環境要因がビジネスモデルに影響するかもしれません。このような環境要因は、事業の将来性に最も大きな影響を与えるものです。今というタイミングを明確に把握した上で、そのメリット・デメリットを評価しましょう。
Why「なぜその事業に取り組む必要があるのか?」

そして最後の問いが、「なぜその事業に取り組むべきなのか?」です。より明確にすると、なぜ「その企業が」その事業に取り組む必要があるのかという問いです。事業なのだから「お金を稼ぐため」というのが理由になりそうな感じがしますよね。しかし、それだけでは事業を成功に導くことは難しいです。なぜなら、どんなにユニークなビジネスモデルを構築したとしても、それが有効であることが分かれば他の企業も同じビジネスに参入してくるからです。その場合、優秀な人材を獲得して事業を拡大するための資金力での競争になり、資金力のない企業はすぐに負けてしまいます。
そこで、優秀な人材を惹きつけ、顧客に愛されるサービスを作る手段が必要になります。これが、「なぜその事業に取り組む必要があるのか?」という大義名分です。給与のために働く人と、企業のビジョンに共感して働く人では生み出す価値が異なることは想像に難くないと思います。また、消費者もビジョンを持った企業の製品に魅力を感じます。この「なぜ」を語ることの重要性は、ゴールデンサークル理論として知られ、多くの企業に取り入れられています。