
リーンキャンバスとは?

リーンキャンバス(Lean Canvas)とは、「Running Lean 実践スタートアップ」の著者であるアッシュ・マウリャ氏によって開発された、スタートアップのビジネスモデルにおける「仮説」を9つの要素に分けて可視化・検証するためのフレームワークです。ビジネスモデルを可視化するためのフレームワークであるビジネスモデルキャンバスをスタートアップ企業向けに最適化する形で開発されており、ビジネスモデルを1ページにまとめて俯瞰できることから、チームメンバーとの共有や内容の更新が行いやすいというメリットがあります。
なぜリーンキャンバスが重要視されるのか?スタートアップのビジネスモデルはほとんど「仮説」

リーンキャンバスにおける最も重要なキーワードは、「仮説」です。スタートアップビジネスがその他のビジネスと大きく異なる点として、「未知の領域で価値を提供する」という特徴があります。一般的に、スタートアップではないビジネスであれば、市場規模や収益規模の予測は立てやすいです。例えば、街に新たにイタリアンレストランを開くのであれば、ターゲット顧客や市場ニーズについて、ある程度明確な事業予測が立てられると思います。しかしながら、スタートアップにおいてはターゲット顧客や市場ニーズといったものが「不明確」であるという場合がほとんどです。未だ存在しない価値を生み出そうとしているのですから、それを欲しがる人がいるかどうか簡単にはわからないというのは想像に難くないでしょう。つまり、言い換えると初期スタートアップが持っているビジネスモデルはほとんど「仮説」であるということができます。
そのため、スタートアップ企業がビジネスモデルを可視化する際に求められることは、「事業における仮説が明確に表現されていること」となります。ビジネスモデルキャンバスのように、事業の全体像を把握しやすくするだけでは実用性に欠けてしまうのです。ビジネスモデルを固定のものと捉えるのでなく、「常に変化し、最適化されていくもの」と捉え、それぞれの仮説を検証しながら内容をアップデートしていくことを念頭に開発されたのがリーンキャンバスです。
リーンスタートアップとは?スタートアップの仮説検証サイクルのための手法
リーンキャンバスは、「リーンスタートアップ」というスタートアップ企業の仮説をスピーディーに検証しながら、ビジネスを成長させていくための手法にもとづいて設計されています。リーンスタートアップは、短期間で最低限の機能を持った試作品(MVP)を作り、市場ニーズを検証しながらプロダクトを進化させていくという手法で、多くのスタートアップ企業に取り入れられています。
リーンキャンバスの使い方 - 事業構想段階のPSFの検証

では、スタートアップ企業はリーンキャンバスを取り入れた上で、どのようにビジネスモデルを検証していくと良いのでしょうか?リーンキャンバスは、事業構想段階から実際にユーザーにサービスを提供している時まで、スタートアップの幅広いフェーズで利用することができます。
事業領域を模索している段階であれば、リーンキャンバスのそれぞれの項目に書き出した仮説に対して、何かしらの方法で簡単に検証できないか考えてみましょう。最も簡単な方法は、「顧客は本当に課題を抱えているのか?」「そのような課題をどうすれば解決できるか?」といった疑問を、潜在顧客に対して直接聞いてみることです。これは、PSF(プロブレムソリューションフィット)の検証と呼ばれるもので、プロダクトを作る前の段階で「課題に対するアプローチが適切であるか」を検証します。
リーンキャンバスの使い方 - プロダクトリリース後のPMFの検証

無事PSFが検証され、「課題を抱える潜在顧客がいること」「提供しようとしている解決策が適切であること」が分かれば、次は実際にその解決策を提供するプロダクトの試作品の開発に取り掛かることでし ょう。試作品となるプロダクト(ベータ版やMVP)を実際にユーザーに使ってもらう際にも、リーンキャンバスは役に立ちます。実際のプロダクトを通して、「顧客は実際にお金を払ってでもそのプロダクトの提供価値を必要としているのか?」であったり、「運用体制やコストが適切であるか?」を検証しながら、リーンキャンバスをアップデートしていくことができます。