実はみんなあまり興味がない?環境に配慮して行動する難しさ
皆さんは、過去3日間を振り返って何かサステナビリティに繋がる行動をしたか答えることができますか?この文章を書いている私を含め、ほとんどの人は「特にない」と答えるのではないでしょうか?最近は、サステナビリティやSDGsといった言葉をよく見かけるようになりましたが、「それらが個人の行動に繋がっているのか」という観点で見るとイマイチ実感がないというのが正直なところかと思います。

https://www.bcg.com/ja-jp/publications/2021/understanding-a-sustainable-society-the-2021-consumer-awareness-survery-series
BCGが2022年に行った環境問題に関する意識調査でも、日本の消費者の環境意識は他10カ国と比べて最も低く、環境のために自らの消費行動を変える意思のある人の割合も他国と比べ最も低いという結果となっています。また、環境に配慮した行動を行うことができない理由としては「気候変動対策にはお金や手間がかかる」が一番に挙げられています。
企業がコストを削減し、安くて便利なものを大量に提供する中、どうしても今まで通りの産業構造だとサステナビリティに配慮している製品は値段も高く、流通も少なくなってしまいます。これに対して働きかけているのが、2015年に国連総会で採択されたSDGsですね。SDGsの採択以降、企業には「お金儲けだけではない企業の存在価値」が社会から問わ れるようになりました。これが、企業間に「サステナビリティやSDGsに取り組まないと」という風潮を生み出し、書店には「サステナビリティ対応をいかにビジネスに活かすか」という観点のビジネス本が並ぶようになりました。
サステナビリティを目的として取り組むデジタルサービスでは、ユーザーの連帯感、環境への総合的なインパクトをデザインで表現。
前述の「気候変動対策にはお金や手間がかかる」という消費者の声からもわかるように、企業はそれぞれサステナビリティへの対応を進めようとするものの、価格と利便性の面でうまく企業と消費者お互いのメリットとなるような取り組みを単体で進めることは簡単ではありません。
そんな中、デジタルプラットフォームを提供することで、このような企業と消費者の間に入り、双方のメリットとなるような構造を作り上げている企業・団体があります。このように、企業と消費者の間に入るプレーヤーによるサステナビリティの推進に注目してみました。

そのようなサービスの一つである「mymizu」は、無料で給水できる場所をアプリのマップ上で簡単に探せるアプリです。mymizuは、「人々が持続可能なライフスタイルを簡単に、楽しく、実現できる世界を創っていくこと」をミッションとしており、ユーザーがアプリを使って給水をするたびに、ベットボトルの消費量やCO2排出量を削減することを実現しています。企業や店舗は給水ポイントとしてサービスに登録することで、サステナビリティに貢献しつつ店舗に足を運んでもらうきっかけを作ることもできます。ま た、水をたくさん飲むことによる健康効果などから人気が出ている水分補給量のトラッキングも機能として提供し、環境のためだけではないメリットを提供することでユーザーの行動を促す工夫も見られます。
同じくモバイルアプリの「TABETE」は、食品ロスの削減を目指し、レストランの廃棄になりそうな食品をユーザーが購入できるようにするサービスです。アプリのマップ上で現在廃棄予定の食品を割引価格で提供している店舗を見つけることができ、アプリ内で決済をした上で店舗に商品を受け取りに行くことができます。店舗は廃棄処分になってしまう商品を減らすことができ、ユーザーは割引価格で商品を購入することができるため、双方のメリットとなる構造でサステナビリティを推進することに成功しています。アプリ内の「購入」ではなく「レスキュにーむかう!」という表現が、サステナビリティにつながる行動を表現していて良いですね。
