先週、オンライン送金サービスのWiseがブランドデザインを全面的に刷新したことを発表しました。その新たなブランドデザインは、金融サービスの常識を打ち破った面白いものでした。また、与えたいブランドイメージに沿って論理的にビジュアルアイデンティティを設計したことが伺える良い事例となっています。
Wiseとは?発想の転換で低い手数料の国際送金を実現したオンラインサービス

https://wise.com/
Wise(旧称: TransferWise)とは、低い手数料での海外送金を実現したオンラインのP2P送金サービスです。Wiseは、ユーザーから受け取った金額を実際に海外送金するのではなく、送金者がWiseに振り込んだ金額の同額を、相手国のWise所有の銀行口座から受取人宛に支払うという仕組みをとることで、海外送金に伴う手数料を抑え、送金日数も短縮したサービス提供を可能としています。
金融サービスの常識を打ち破るWiseのリブランディングの狙い
Wiseは今回のリブランディングにおいて、その「ユーザー」に焦点を当てて、金融サービスとしての今までのやや堅い印象から抜け出し、人間味にあふれる表現を追求したようです。この「人間味」を金融サービスのブランドとしてどう表現するかが今回のWiseのブランディングおける重要なポイントとなっているのではないでしょうか?
Our new look celebrates what makes us different: you. Where you’ve been; where you’re going next.(新しいブランドデザインはWiseを象徴する「あなた」に焦点を当てています。つまり、あなたがこれまで歩んできた道、そしてこれから歩む道などです)
https://wise.com/community/en/brand-new-look
コーポレートカラーとしては、これまで金融サービスとしてのイメージ通りであった「青」を捨てて「緑」を採用。従来のイメージからの大きな方向転換を図るにはやはり、青のイメージを完全に消し去ることが必要だったのかもしれませんね。改めてリブランディング前のブランドデザインを見ると、 とても大きな方向転換が行われたことがわかります。リブランディングにあたって作成された上記の動画を見ても、従来の金融サービスとは異なり、「人間味」「親しみやすさ」「力強さ」といった印象を受けるのではないでしょうか?

リブランディング前のWiseのWebサイト
人間味を表現する中間色トーンと写真の調和
カラーパレットには、私たちの生活環境や自然界に多く存在する「中間色のトーン」の色が採用されており、これも人間味を表現するための重要な選択であることが伺えます。このカラーパレットはその色自身が人間味を表現するだけではなく、さらなる人間味の表現として今回多く採用されている「写真」との調和も前提に設計されているように見えます。新しくなったWiseのWebサイトを見ても、写真が多く使用されており、自然界に多く存在する中間色のトーンを使用したカラーパレットとうまく調和していることがわかります。
