Nielsen Norman Group(NN/g)のフエイシン・ワンが、デザインシステムの成熟度を評価するための新しい枠組みを提示した。従来のように「初期段階から成熟段階へ一直線に進む」という見方を退け、複数の軸から多面的に捉え直す点に特徴がある。実際のデザインシステム運用は、もっと入り組んでいるというのがその主張だ。
筆者が挙げるのは六つの評価軸である。ひとつめは「組織的な整合性」。経営層の後押しや予算の安定、戦略上の位置づけ、部門横断的な合意が、組織変更を越えてシステムが生き残れるかを決める。ふたつめは「チームの実効性」。人員のキャパシティや専門性、協働のあり方、そして担い手の健全な労働環境が、システムを持続・拡張する力を支える。
三つめは「インフラの堅牢さ」だ。コンポーネントやデザイントークン、ドキュメント、ツール、アクセシビリティ対応など、利用者が日々触れる具体的な成果物の質と網羅性を指す。四つめの「ガバナンス」は、貢献のプロセスや意思決定、バージョン管理、優先順位づけを定める運用モデルである。五つめの「サポート」はオンボーディングや問い合わせ対応、社内への啓蒙、フィードバックの循環を、六つめの「アダプション(定着)」は利用の広がりとパターンへの準拠、システムへの信頼を扱う。
重要なのは、これらの軸が一様には育たないという指摘だ。システムは後退もすれば停滞もし、文脈に応じて偏りながら発展する。とりわけ「アダプションに完成はない」とされ、定着は常に続く組織的な課題として捉えられている。評価はチームで協働して行うことが望ましく、その過程自体が共同オーナーシップを育むという。
出来上がったレーダーチャートの形は、どの軸が弱く、どこに注力すべきかを浮かび上がらせる。四半期ごとの再評価で経時的な変化を追う運用も推奨される。デザインシステムを「完成させるもの」ではなく「育て続けるもの」として捉え直す視点は、日本の制作現場で運用に悩むチームにとっても実践的な指針になりそうだ。









