
はじめに
制作とマネジメントは、別々のスキルとして語られることが多くあります。実際、「良い制作物を作ること」と「マネジメントを行うこと」は、時間の使い方という意味ではトレードオフになりがちで別の事のように感じます。私自身も、一人のデザイナーとして制作物のクオリティを追求したい一方で、メンバ ーのサポートやレビュー、進行管理にも時間を割く必要があり、そのバランスに悩むことがあります。
しかし、制作とマネジメントを続ける中で感じたのは、時間は競合しても、考え方や本質はとても似ているということでした。
株式会社マイナビ デジタルテクノロジー戦略本部 CXマーケティング統括本部 コンテンツプランニング統括部 コンテンツプランニング統括部UXデザイン部 UXデザイン2課 課長/2021年にWebデザイナーとして中途入社。自社のwebサイトのデザイン、紙媒体や広告などのグラフィックデザイン、UI/UXに至るまで幅広い領域の業務を担当。全社顕彰にて、2024年 マネージャー賞(銀賞)受賞/2025年 マネージャー賞(銅賞)を受賞
制作で大切にしていること
制作物のクオリティを高めるため、私は次の3つを意識しています。
何を実現することが目的なのかを考える
ユーザーやクライアントの立場で考える
レビューを繰り返し、改善を積み重ねる(クオリティの高いものを作るのには改善などの積み重ねが必要で時間がかかることもある)
私が考えるクオリティは、見た目が美しいことや、細部まで作り込まれていることだけではありません。 クライアントが満足し、ユーザーにとって見やすく迷わず快適に利用できること。そして、その結果として成果にもつながっていること。
つまり、クオリティとは「一部分だけが優れている状態」ではなく、クライアント・ユーザー・ビジネスの三者にとって価値のある状態を目指すことだと私は考えています。
マネジメントも同じ考え方だった
私が管理職となり、制作と並行してマネジメントを始めた当初は、制作とマネジメントはまったく別の仕事だと思っていました。
あるとき、メンバーとの個別面談で、そのメンバーが目標達成に向けた進め方に悩んでいることがありました。 私は「どうすればこの悩みを解決できるのか」「どのようなサポートをすれば、このメンバーが力を発揮できるのか」を一緒に整理しながら、進め方を見直していました。
そのときふと、自分が考えていることがデザインを制作している時ととても似ていることに気づきました。振り返ってみると、制作で当たり前のように意識していたことが、マネジメントでもそのまま求められていたのです。
どうしたら課題が解決されるのか、最大限パフォーマンスを発揮できるのか
メンバーや組織、それぞれの立場で考える
対話を通じて改善を続ける
対象が「制作物」から「チーム」へ変わるだけで、考え方の根本は変わらないと感じています。
目指すべきは効率化ではなく相手に合わせた最適化
プレイヤーとマネージャーを両立していると、限られた時間の中で効率化を求めたくなる場面があります。しかし、人を相手にするマネジメントでは、効率だけを追求することが必ずしも良い成果につながるとは限りません。
マネジメントを始めたばかりの頃は、「同じように伝えれば同じように伝わる」と考えていました。共通のルールや進め方を決めれば効率的ですし、自分自身も管理しやすくなるからです。 しかし実際には、細かく相談しながら進めた方が力を発揮できるメンバーもいれば、大枠だけ共有して任せた方が成果を出せるメンバーもいました。その経験を通じて、「効率的なやり方」と「最適なやり方」は必ずしも同じではないことを実感しました。
メンバーの考え方や経験、成長スピードにはそれぞれ違いがあります。そのため、一人ひとりの状況に合わせて関わり方を変え、必要な時間をかけながら成長を支えることが重要です。 これは、制作物のクオリティを考えることにも通じています。ユーザーやクライアントの目的、サービスの特性、利用される状況によって、最適なデザインは変わります。 例えば、同じWebサイトデザインでも、子供向けなのか年配の方向けなのかで必要なデザインや優先すべきポイントは異なります。大切なのは、効率化そのものを目的にするのではなく、それぞれの対象に合わせて最適な方法を考えることだと思っています。
制作で培った「考え方」がマネジメントにつながる
私は、制作を続けてきたからこそマネジメントができるようになった、とは考えていませんが、制作で当たり前のように行っていた思考が、そのままマネジメントにも活きていると感じています。 制作では、「誰のために、何を優先しどのように改善するか」を考えながら最適なデザインを組み立てます。 マネジメントでも、「誰にとって何が最適なのか」を考えながら、チームやプロジェクトの進め方を組み立てます。
対象がデザインからチームへ変わっただけで、複数の立場を考慮しながら最適解を追求していくプロセスは共通していて、制作で培った考え方はマネジメントにも活かされ、マネジメントで身に付けた視点は制作物のクオリティ向上にもつながると感じています。
だからこそ、どちらも続けたい
プレイヤーとマネージャーは、時間だけを見るとトレードオフです。しかし、マネジメントに取り組む中で気づいたのは、制作とマネジメントは決して対立するものではないということです。 良い制作物を作ろうとする時も、良いチームを作ろうとする時も、求められるのは相手に向き合い、課題を整理し、最適な方法を考え続ける姿勢です。
考え方や本質が似ているからこそ、それぞれの経験が相互に良い影響を与えていると感じています。
だからこそ私は、制作とマネジメントどちらか一方を選ぶのではなく、プレイヤーとして制作に向き合うことも、マネージャーとしてチームに向き合うことも大切にしたいと考えています。
もし皆様が今取り組んでいる仕事の中で、「これは別の領域だから」と感じていることがあったとしても、一度その本質に目を向けてみると、本記事でお伝えした制作とマネジメントのように、時間の使い方や役割は異なっていても、共通する考え方が見つかるかもしれません。 そうした視点が、皆様の新たな学びや気づきにつながれば嬉しく思います。
株式会社マイナビ デジタルテクノロジー戦略本部 CXマーケティング統括本部 コンテンツプランニング統括部 コンテンツプランニング統括部UXデザイン部 UXデザイン2課 課長/2021年にWebデザイナーとして中途入社。自社のwebサイトのデザイン、紙媒体や広告などのグラフィックデザイン、UI/UXに至るまで幅広い領域の業務を担当。全社顕彰にて、2024年 マネージャー賞(銀賞)受賞/2025年 マネージャー賞(銅賞)を受賞



