
ペルソナとは?ターゲットユーザーのエッセンスを抽出した架空のユーザー像
ペルソナの具体例
ペルソナ(Persona)とは、ユーザーの行動・思考・価値観などのデータをもとに作られた架空のユーザー像です。これをもとに、チーム全体の共通認識を作ることができ、ペルソナを満足させることがサービスの改善につながったり、機能改善の判断の軸としてユーザー中心の設計をするために大変便利な存在と言えます。緻密に設計されたペルソナをチーム内で共有することで、ユーザー像に関するメンバー間での認識のずれを防ぐことができ、正しく一貫したユーザーバリューを届けることにつながります。
ペルソナとターゲットユーザーの違い
よく「ペルソナ」と一緒に聞くことが多いので、「ターゲットユーザー」との違いがわかりづらいと感じる人も多いと思いますが、下記のように全く情報の設定量が違います。
ペルソナ
実際に存在していそうな架空のユーザー 名前、年齢、性格、家族構成、趣味、休日の過ごし方、好きな本・サービスなど詳細な情報がある
ターゲットユーザー
20代 男性 社会人ひとり暮らし 市場の中でもざっくりとどのような年齢層でライフスタイルを持っているか情報がある
ペルソナの役割とは?チームの共通認識を作ることは意外と難しい
ペルソナ自体の役割としては、作成の過程を通じて関係者と共通認識を持つことができることが大きいです。ターゲットユーザーだけだと人物像までイメージするのは難しく、関係者の中でも各自違う認識をしてしまうことがあります。ペルソナは言語化しずらいユーザー像を細かく可視化するツールであり、マネキンを作っていると思っていただくのがわかりやすいと思います。
ペルソナの作り方: データに基づいた設計が重要
ペルソナは様々な手法で作ることができますが、実際のUXデザインにおいて一般的な下記の方法を参考にしていただければと思います。
定量データを踏まえてターゲットユーザー層を決める
ターゲットユーザーの定性インタビュー調査を実施
ペルソナ・スペクトラムでユーザー属性を洗い出す
ユーザー属性のセグメント毎に分析
分析結果をペルソナシートに記載する
1. 定量データを踏まえてターゲットユーザー層を決める
全ての人に満足してもらえる製品やサービスを作りたいと思っても、結局は誰にも満足してもらえないサービスになってしまいます。そこで関係者を集めて理想のターゲットユーザーを洗い出します。ワークショップ形式にして付箋に特徴をそれぞれ記入してもらってから、KJ法などで整理をしてユーザー層を決めていくと良いでしょう。
2. ターゲットユーザーの定性インタビュー調査を実施
明らかになったターゲットユーザーの声を実際に聞いていく必要があるので、まずはリクルーティングのためにアンケート調査を実施し、対象のユーザーを洗い出します。その後、対象者にユーザーインタビュー調査を実施することでどのような人物像なのかを明らかにしていきます。
ユーザーインタビューする前にインタビューガイドの作成をしましょう。ガイドを活用することによって必ずヒアリングしたい内容を関係者に事前確認をしながら進め、本番インタビュー前にパイロットインタビュー(インタビューのテスト)を実施し、作成したガイドの質問に対して求めているような回答が得られたかやタイムマネジメントの確認を実施しインタビューガイドをアップデートすることを忘れないようにすることがポイントです。下記のような内容をさらに細分化してヒアリングしていくことが多いと思います。
3. ペルソナ・スペクトラムでユーザー属性を洗い出す
ペルソナ・スペクトラムとはユーザーの特徴をスケール上に可視化して属性を洗い出すことができる手法です。複数人のインタビューを実施すると同じような価値観を洗い出すのにとても便利なのでUXデザインの現場でもよくこの手法を利用します。ペルソナを作ることがゴールではなくてもインタビュー結果のユーザー属性をかんたんに可視化することができるため、是非チャレンジしてみてほしい手法です。
- ユーザーインタビューのポイント
- ユーザーインタビューは複数名実施することになると思います。実施人数が少ない場合でも時間が経つにつれて、それぞれのユーザーの特徴・思考性などを忘れてしまいがちなので、インタビュー全体が終わるまでペルソナ・スペクトラムを実施しないと思い出すために議事録を確認したりする時間は勿体無いので、インタビュー後のラップアップのひとつの項目として用意しておくと効率よく作成することが出来ます。
4. ユーザー属性のセグメント毎に分析
前ステップでユーザー属性が分かった状態で同じような属性を持っているユーザーのインタビュー発話をKJ法やKA法のように付箋を利用して同じような発話を集めてグループ化しながら分析していきます。
ここで気をつけたいのが分析対応をする方の主観が入らないようにすることが大切です。発話から勝手に想像した言葉を書き換えてしまったりするとそれは妄想でペルソナを作ってしまうことにつながっています。また、インタビューから分析の時間をあけてしまうと忘れてしまうので記憶が鮮明なうちに分析スタートしましょう。