
UI(ユーザーインターフェース)とは?
UIとは、User Interface(ユーザーインターフェース)の略称です。インターフェースには、「接点」と言う意味があり、UIとはユーザーと製品とのすべての「接点」のことを意味します。具体的には、ボタンやフォント、ナビゲーションなどのユーザーがサービス利用時に目にするもの、操作するものすべてをUIと呼ぶことができます。
UIの役割はインプットとアウトプットの仲介
ユーザーはソフトウェアの利用時に大きく分けて「インプット(入力)」と「アウトプット(出力)」という2つの動作をおこなっています。コンピューターに対して命令をするのがアウトプット。命令の結果として得られた返答を認識するのがインプットです。ITサービスなどを利用しているときには、絶え間なくこのインプットとアウトプットが行われます(これをインタラクションと呼びます)。それを仲介するのがUIであり、UIが洗練されているかどうかがユーザー体験の良し悪しに大きな影響を与えます。

UIの具体例: インスタグラムのフィードから
UIの実例として、インスタグラムのフィードを見ている場面を考えてみましょう。
画面一番上に表示されている投稿の画像を見る
画面をスクロールするとさらに投稿があることに気付く
画面をスクロールする
気になる投稿を見つける
気になった投稿をタップする
この一連の動作でユーザーが見た画像や 説明文、ボタンなどのすべてがUIです。
インスタグラムのようなモバイルアプリは、ユーザーが「操作」することを前提としたサービスなので、画面内のすべての要素がUIであるということができます。そのため、アプリをデザインするデザイナーは一般的に「UIデザイナー」と呼ばれています。一方、広告デザインやデジタルアートなどのユーザーが「操作」しないものは一般的にUIとは呼ばれません。
UIとUXの違いと関係性
前述のように、ITサービスにおいてUIの良し悪しは全体のユーザー体験に大きな影響を与えることとなるため、「ユーザー体験」を意味するUX(ユーザーエクスペリエンス)と一緒に語られることが多いです。

UXとは?利用者がサービスや製品を通して得られる顧客体験。
UXとは、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略称で、「利用者がサービスや製品を通して得られる顧客体験」を意味します。個々の顧客に対して、直接サービスを提供する企業が「顧客体験」といった言葉を使う一方、個々の利用者を「ユーザー」と定義した上で、ソフトウェアを通して自動化されたサービス提供を行うIT業界で主に使われている言葉です。
つまり、UXがサービス全体のユーザー体験を表すのに対し、UIはそのユーザー体験を形作る一部と考えることができます。しかし、「ユーザー体験の一部」とはいえ、モバイルアプリやWebサービスにおいてはユーザーがサービスを利用する際に触れるものの9割以上はUIであると言っても過言ではありません。そのため、UIはUXと密接に関係したものとしてUI/UXデザインとしてまとめて語られることも多いです。IT業界の求人情報を見ても、「UIデザインを通して、最適化されたUXを提供するデザイナー」という意味合いで、UI/UXデザイナーとしてデザイナーを募集していることがあります。
優れたUIとは?UI最適化のための基本的なポイント

ITサービスにおいて良いユーザー体験を提供するためには、優れたUIが欠かせないことはわかりました。では、優れたUIを作るためにはどのような点に気をつけると良いのでしょうか?前述の通り、UIにはユーザーに「インプット(入力)」と「アウトプット(出力)」いう2つの行動をさせる役割があります。
ユーザーの認知から行動への順序を整理すると、
UIを見て情報と操作方法を把握(インプット)
実際に操作する(アウトプット)
といったように、必ずインプットが先に行われることがわかります。そのため、UI最適化のためにまず必要となるのは、ユーザーが正しく情報を把握できるようにレイアウトを構成することとなります。ここでは、UIに限らずグラフィックデザインの基本ルールとしても知られる「CRAP」に沿って解説します。
UIデザインの基本ルール、CRAPとは?

CRAPとは、レイアウトデザインの4つの原則である「強弱(Contrast)」「反復(Repetition)」「整列(Alignment)」「近接(Proximity)」の頭文字をとった言葉です。ちなみに「Crap」はアメリカ英語でちょっと下品な意味があるので、「C.R.A.P」のように区切って記述される場合も多いです、、
そんなCRAPのそれぞれの意味を説明したいと思います。
1. 強弱(Contrast): 情報の優先度を明確に表現する

優先順位に合わせて画面上の要素に強弱をつけましょう。強弱の付け方は多様で、テキストのサイズや色、スタイル、コンポーネントの背景色など様々な方法が考えられます。
ちなみに、はじめてモバイルアプリのデザインをするデザイナーがよく悩むのがこの「強弱」の基準となるサイズです。アプリ内で強弱のバランスが取れていても、他のアプリとサイズ感がずれているとちょっとおかしな感じがしてしまいますよね。モバイルアプリではiOS、Androidなどのプラットフォームごとにガイドラインが設けられており、タイトル、見出し、本文などそれぞれの要素に合ったフォントサイズが指定されています。はじめは、このガイドラインを参考にしながら進めると、他のアプリと比較しても違和感のないサイズ感でデザインができると思います。
2. 反復(Repetition): 同じ情報は一貫性を持って表現する

UIはユーザーが視覚的に情報を把握できるようにするためのデザインです。「視覚的に」というのは、画面内のすべての文字を読まずとも、何が表示されているのかを「過去の経験的から理解できる」ということです。例えば、アプリ内で一貫性のある文字サイズで見出しが表現されていれば、ユーザーは迷うことなく画面内の情報構成を把握することができます。悪い例として、例えば本のレイアウトがページ毎に大きく異なっていたら、ページを開く毎にどこに何が書いてあるのかを理解する必要が出てきてイライラしてしまいますよね。この「過去の経験からUIの要素の意味を理解する」というユーザー行動はUI設計にとって、とても重要な原理となります。
そして、ユーザーが「過去の経験からUIの要素の意 味を理解する」ということは、ユーザーが過去に使ったことのある他のサービスの経験もUIへの理解に影響するということです。例えば、iPhoneを使っているユーザーは経験的に「赤いドット」を「通知」として認識するかと思います。仮に、とあるアプリが通知の表示に「黄色いドット」を使ったとしたら、いくらアプリ内で一貫性を持って使われていたとしてもユーザーは他のアプリを使う時とは「別の記憶を」頼りにしなくてはいけなくなり、フラストレーションを生む原因となります。つまり、作成しているUI内での一貫性はもちろん、ユーザーの持っている過去の経験との一貫性にも気をつけてデザインすることがUIデザインにとっての「反復(Repetition)」のポイントとなります。
ユーザーの記憶を考慮した設計は、UXデザインの重要な要素である「ユーザービリティ」の構成要素である「学習しやすさ」と「記憶しやすさ」にも関連するポイントです。こちらは、ユーザビリティに関する記事でも詳しく説明しています。