
Webデザインとは?
Webデザインとは、ブラウザを使って表示されるWebサイトのデザインとその制作プロセスのことを意味します。Webサイトが以前と比べ、ビジネス的な目的を強く持つようになった現在では、見た目の良いサイトを作るだけではなく、戦略的に成果を上げるようなWebデザインを設計するためのデザイン技術が求められるようになってきています。
UIデザインとの違い
UIデザインとは、ユーザーがサービスをスムーズに使い、その価値を最大限に享受できるようにプロダクトの設計をすることを意味します。こちらは、情報の提供が主な目的となるようなWebサイトよりも、ECサイトやWebアプリなどのより機能的なWebページやモバイルアプリのデザインに使われる言葉です。しかし、近年では多くのWebサイトが機能的な側面を持つようになっており、WebデザインにもUIデザイン的な思考が求められるようになってきています。
グラフィックデザインとの違い
グラフィックデザインは、ポスターや本の表紙など印刷物のデザインにもよく使われる言葉です。グラフィックデザインと比較した際のWebデザインの大きな特徴は、そのデザインがプログラミング言語で実装され、ブラウザ上で表示されるという点です。ポスターなどの静的なデザインとは異なり、表示する画面のサイズやデバイスによって表示が変わることを想定しながらデザインを制作する必要があります。また、デザインを表示するブラウザの挙動には様々な制限があり、そのようなデザインであれば実装が可能かについての理解も重要となります。Webデザインにおいては、大部分がコードで実装されてブラウザで表示されますが、Webサイト内のバナーなど、一部静的なデザインとして制作する必要のあるグラフィックデザイン的な要素も存在します。
Webデザインの基礎
優れたWebデザインを作るための大前提として、そのデザインがユーザーに適切に情報を届けられるようにデザインする必要があります。ユーザーはほとんどの場合、何らかの目的を持ってWebサイトを訪れます。Webサイトのデザインがその目的に対応する答えを提供できなかったり、提供していてもユーザーが気づかなかったりしては意味がありません。
ここでは、ユーザーに正しく情報を届けるための基本ルールとして、グラフィックデザインの世界では有名な「CRAPルール」を紹介します。
Webデザインの基本ルール、CRAPとは?

CRAPとは、レイアウトデザインの4つの原則である「強弱(Contrast)」「反復(Repetition)」「整列(Alignment)」「近接(Proximity)」の頭文字をとった言葉です。ちなみに「Crap」はアメリカ英語でちょっと下品な意味があるので、「C.R.A.P」のように区切って記述される場合も多いです、、
1. 強弱(Contrast):情報の優先度を明確に表現する

優先順位に合わせて画面上の要素に強弱をつけましょう。強弱の付け方は多様で、テキストのサイズや色、スタイル、コンポーネントの背景色など様々な方法が考えられます。
2. 反復(Repetition):情報を一貫性を持って表現する

ある情報をブラウザを使って検索している時のことを考えてみてください。多くの場合は、検索結果に表示されたサイトの中からいくつかのサイトを開いて良さそうなものを探しますよね。その際に、開いたサイトが目的に合っていそうかそうでないかは、おそらく数秒で判断していると思います。
デザインは、ユーザーが視覚的に情報を把握できるようにするための工夫です。「視覚的に 」というのは、画面内のすべての文字を読まずとも、何が表示されているのかを「過去の経験的から理解できる」ということです。例えば、Webサイト内で一貫性のある文字サイズで見出しが表現されていれば、ユーザーは迷うことなく画面内の情報構成を把握することができます。逆に、サイト内の文字サイズがあまりにもバラバラだと情報を把握するのがとても難しくなりますよね。このように一貫性を持って情報を表示することはWebデザインにとって欠かせないポイントとなります。
3. 整列(Alignment):要素を揃える

基本的なものだと「左揃え」「右揃え」から、複雑なものだと「グリッドレイアウト」まで、要素を整列することもユーザーが視覚的に情報を把握するためには重要な原則です。画面上の情報を把握するために、視点を上下左右斜めに忙しく動かさなくてはいけないようなページは読みにくいですよね。ユーザーがストレスなく情報を把握できるように、テキストなどの要素は揃えて配置しましょう。
4. 近接(Proximity):関係する情報を近づける

関連性のある情報はまとめて、関連性のない情報は分けて配置しましょう。文字で冗長な説明を加えなくても、この「近接」を上手く使うだけでユーザーに情報を伝えられることがあります。
レスポンシブデザインとは?
現在のWebデザインにおいて、とても重要なトピックがこの「レスポンシブデザイン」です。レスポンシブデザインとは、Webサイトを様々なサイズのデバイス環境に対応させるための技術です。WebサイトはHTMLで表示内容を記述し、CSSを使ってレイアウトや見た目を指定します。このCSSを画面サイズに合わせて変更させることで、同じWebサイトでありながら画面サイズに合わせた複数の見た目を表現することができるようになります。
以前はPC用とモバイル用で異なるHTMLを配信し、それぞれ異なるデザインとして準備するような実装もよく行われていました。しかし、この方法ではサイトのコンテンツやデザインを変更する際にPC用とモバイル用の両方 を編集する必要があり、多くの運用コストがかかってしまいます。また、PC用とモバイル用でURLが異なる場合などは、Googleなどの検索エンジンに両ページが同じコンテンツであることを適切に伝える必要があるなど、他にも多くの運用スキルが必要でした。
レスポンシブデザインでは、コンテンツを記述するためのHTMLは1ページに1つとなるため、この方法よりも効率的にWebサイトを構築・運用することができます。また、近年タブレットデバイスが普及し、対応が必要なデバイスサイズがさらに増えたこともあり、デバイスサイズごとに異なるHTMLを準備するのではなく、レスポンシブデザインでのWebサイト制作を行うことが主流となりました。