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Wiseのブランドデザインが新しくなった!金融サービスでの「人間味」の表現というブランドの挑戦

最終更新日:2023.08.14編集部
Wiseのブランドデザインが新しくなった!金融サービスでの「人間味」の表現というブランドの挑戦

先週、オンライン送金サービスのWiseがブランドデザインを全面的に刷新したことを発表しました。その新たなブランドデザインは、金融サービスの常識を打ち破った面白いものでした。また、与えたいブランドイメージに沿って論理的にビジュアルアイデンティティを設計したことが伺える良い事例となっています。

Wiseとは?発想の転換で低い手数料の国際送金を実現したオンラインサービス

Wiseの新Webサイト

https://wise.com/

Wise(旧称: TransferWise)とは、低い手数料での海外送金を実現したオンラインのP2P送金サービスです。Wiseは、ユーザーから受け取った金額を実際に海外送金するのではなく、送金者がWiseに振り込んだ金額の同額を、相手国のWise所有の銀行口座から受取人宛に支払うという仕組みをとることで、海外送金に伴う手数料を抑え、送金日数も短縮したサービス提供を可能としています。

金融サービスの常識を打ち破るWiseのリブランディングの狙い

Wiseは今回のリブランディングにおいて、その「ユーザー」に焦点を当てて、金融サービスとしての今までのやや堅い印象から抜け出し、人間味にあふれる表現を追求したようです。この「人間味」を金融サービスのブランドとしてどう表現するかが今回のWiseのブランディングおける重要なポイントとなっているのではないでしょうか?

Quote

Our new look celebrates what makes us different: you. Where you’ve been; where you’re going next.(新しいブランドデザインはWiseを象徴する「あなた」に焦点を当てています。つまり、あなたがこれまで歩んできた道、そしてこれから歩む道などです)

https://wise.com/community/en/brand-new-look

コーポレートカラーとしては、これまで金融サービスとしてのイメージ通りであった「青」を捨てて「緑」を採用。従来のイメージからの大きな方向転換を図るにはやはり、青のイメージを完全に消し去ることが必要だったのかもしれませんね。改めてリブランディング前のブランドデザインを見ると、とても大きな方向転換が行われたことがわかります。リブランディングにあたって作成された上記の動画を見ても、従来の金融サービスとは異なり、「人間味」「親しみやすさ」「力強さ」といった印象を受けるのではないでしょうか?

リブランディング前のWiseのWebサイト

リブランディング前のWiseのWebサイト

人間味を表現する中間色トーンと写真の調和

カラーパレットには、私たちの生活環境や自然界に多く存在する「中間色のトーン」の色が採用されており、これも人間味を表現するための重要な選択であることが伺えます。このカラーパレットはその色自身が人間味を表現するだけではなく、さらなる人間味の表現として今回多く採用されている「写真」との調和も前提に設計されているように見えます。新しくなったWiseのWebサイトを見ても、写真が多く使用されており、自然界に多く存在する中間色のトーンを使用したカラーパレットとうまく調和していることがわかります。

WiseのWebサイトでの写真表現

https://wise.com/

新たなトーンオブボイスと共に自信に満ちたメッセージを伝えるコーポレートフォント『Wise Sans』

また、サイト内でも使用されている新たなコーポレートフォント『Wise Sans』も今回のブランドデザイン刷新における注目のポイントです。遊び心を感じさせながらも力強いボールドフォントは、同時に新しくなったトーンオブボイスとともに、フレンドリーでありながらも力強く、自信に満ちた印象を与えます。

今回のリブランディングにて採用されたカラーパレットや写真といった視覚表現のみでブランドデザインを構成すると、確かに人間味は出るものの、どちらかというとオーガニック食品ブランドのような、金融サービスとしてはやや行き過ぎた親しみやすさが出てしまうのではないでしょうか?そこで、Wiseはタイポグラフィにボールドフォントを使用することで、「力強さ」「自信」といった信頼感や安心感を与える要素を取り入れて、うまくバランスをとっているように見えます。

Wiseの新ブランド紹介ページ

https://wise.com/community/en/brand-new-look

この「力強さ」や「自信」といった表現は、新しくなったトーンオブボイスにも反映されているようです。今までは、いわゆる金融サービスとして一般的なフォーマルかつ堅実なトーンオブボイスを使用していたWiseですが、今回のリブランディングではフレンドリーでありながらとても自信に満ちた表現で情報発信を行っています。

今回のリブランディングがTwitterで発表された際にも、ツイートには「金融サービスとしてあまり合わないのではないか?」という意見が多く寄せられていました。Wiseはそれら一つ一つに、「新しいブランドデザインに慣れるまでにはある程度時間がかかるもの、新たなデザインが受け入れられ浸透すると信じています」と返信し、自信に満ち、強い意志を感じるようなメッセージを発信しています。ブランドデザインの刷新において、理念に基づいたデザイン設計と同時に、それを一貫して発信していくことの重要性をWiseが強く意識していることが伺えますね。

タペストリーという新しい表現

このように、とても論理的に組み立てられているように見えるWiseの新しいブランドデザインですが、ワクワクするような新しさをもたらしてくれる要素もあります。それが、Wiseが『タペストリー(つづれ織り)』と呼ぶデザイン表現です。主に写真の上にレイヤーとして使用されており、強い独自性を表現しています。論理的に組み立てたデザイン表現にこのようなプラスアルファともいえる独自の要素を取り入れる手法は、メッセージ性と独自性を両立させるためのブランドデザイン手法としてとても参考になりそうです。

Wiseのタペストリー表現

https://wise.design/foundations/tapestries

新しくなったデザインシステムはオンラインで公開

デジタルプロダクトデザイナーとしては、このように明確な目的にもとづいて設計されたブランドデザインが、ひとつひとつのUIにどのように反映されているのかについても気になりますよね。Wiseは今回の新しくなったブランドデザインのデザインシステムをオンラインで公開しており、ボタンやフォームなどのコンポーネントを誰でも閲覧することができます。こちらもブランドデザインとデザインシステムの構築の参考にチェックしてみてはいかがでしょうか?

Wise Deisgn

https://wise.design/components

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