Microsoftが、ミケランジェロの筆跡や手稿、建築から着想した新しいセリフ書体「Michelangelus」を公開した。regular・italic・bold・bold italicの4スタイルで2,000を超えるグリフを備え、すでにダウンロード可能。年内にはWordやPowerPoint、ExcelなどMicrosoft 365アプリにも搭載される予定だ。
この書体は、サン・ピエトロ大聖堂の献堂400周年を記念し、同大聖堂の造営維持組織Fabbrica di San Pietroが依頼したもの。デザインはイタリアとドイツを拠点とする独立系スタジオStudiogustoが担当し、Microsoftはバチカンとの法的調整や、タイポグラフィ・技術面のレビューで協力した。
制作の基本方針は、ミケランジェロの筆跡をそのまま写さないことだった。甥に宛てた読みにくい手紙から、巨匠が美しさと可読性の両方を重んじていたと結論づけ、署名やストロー クの太さ、大きな運筆を研究。バチカン使徒文書館への貴重なアクセスを得て、本人の手記や書簡も調べたという。
大文字は、サン・ピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂のローマン・キャピタル、ラテン語碑文、ピエタから着想され、石を彫る制約がコントラストや角度、ストロークの緊張感を形づくった。制作はその時代の標準だったイタリックから着手。完全なアルファベットや数字が残っていないため、欠けた文字は新たに作り起こし、「j」「s」などには別字形も用意された。
小文字の「g」はregularが二段重ね、italicはミケランジェロの署名をもとに1週間かけて追い込まれた。プロポーションはGaramondなどより狭く、技術的にはコンデンスドではないが、そう感じられることもあるという。日常のテキストから記念碑的な用途までを想定したヒューマニストセリフで、歴史と最新のフォント技術が交わる好例といえる。









