「UX」という呼び名はもう古いのではないか——そんな議論が絶えないなか、Nielsen Norman Group(NN/g)のレイチェル・バナワが、この問いに調査で答えを出している。結論は明快だ。UXに取って代わる新しい呼称は、いまのところ現れていない。
調査は2026年4月、世界の技術・デザイン職604人を対象に行われた。工夫されているのは質問の仕方だ。「UX」という言葉を出さずに仕事の定義だけを提示し、その領域を自由に名づけてもらう間接的な手法をとった。先入観を排し、人々が本当に使う言葉を引き出す狙いである。
結果、回答の約70%が「UX」に関連する言葉を含み、「UX」単独でも47.8%を占めた。「user」が22.4%、「user experience」が10.8%と続く。対抗馬は振るわず、「experience design」はわずか4件、「human(human-centered designの意)」は5件にとどまった。UXの浸透度に迫る言葉は存在しなかった。
興味深いのは、職種による言葉の揺れだ。プロダクトマネージャーの38%、プロダクトデザイナーの27%が「product」を用いたのに対し、UX実務家では10%にとどまった。立場によって好まれる呼び名が異なる——名称の断片化は、この役割ごとの温度差に根ざしているといえる。
筆者は「いま新たな包括的名称を採用する妥当性は見当たらない」と結論づける。名前を変える労力を割くより、UXリーダーは自らの仕事が組織の成果にどうつながるかを示し、価値を証明することに注力すべきだという。呼称論争に揺れる日本のデザイン組織にとっても、足元を見直すうえで示唆に富む調査である。









