1973年に生まれた風変わりな書体が、いまの時代にこそ似合う姿で蘇った。Ad Wernerによる「Paperclip Contour」を下敷きにしたディスプレイ書体「Clippy」だ。丸くループを描く字形が特徴で、名前のとおりゼムクリップのようなかたちを思わせる。
復刻を手がけたのは、タイプデザイナーのTor Weibull。Kanon Foundryを通じて、オリジナルを本格的な可変フォントファミリーへと拡張した。可変フォント技術によって、文字は直立と斜体のあいだを行き来し、単純なイタリックに倒れ込むのではなく、前後に「揺れる」ような動きを見せる。
拡張されたファミリーは530のグリフを備え、219の言語に対応する。小文字・数字・基本的な約物しかなかった原案から、実用に足る規模へと大きく育てられた格好だ。フォーマルな文脈——たとえば銀行アプリの本文などには不向きだが、巨大な見出しやホームページのヘッドラインといった、ディスプレイ用途では存在感を発揮する。
記事は、この復活をより大きな潮流の表れと見る。長らくデジタルデザインを支配してきた「極めて礼儀正しい」ジオメトリックなサンセリフに対する反動として、奇妙で遊びのあるタイポグラフィがふたたび面白がられている、というわけだ。
書体はKanon Foundryのサイト(kanonfoundry.com/clippy)から入手できる。整いすぎたデザインに食傷を感じるなら、あえて癖のある一書体を主役に据える選択肢として、日本語まわりのデザインでも刺激になりそうだ。









