Web Designer DepotのSimon Sterneが、「誰もあなたのアプリを欲しがっていない」という挑発的なタイトルで、ネイティブアプリのインストールを執拗に促す風潮に疑問を投げかけている。すでに機能するモバイルサイトがあるのに、なぜ多くのサービスは「アプリで開く」を迫るのか——その動機と是非を問う論考だ。
Sterneが対置するのは、Webの根本的な軽さである。「クリックして、読み込んで、終わり」。インストールも、アップデートも、権限の許可も、長期的なコミットメントもいらない。情報やサービスに手早くアクセスするうえで、これはむしろ優れた体験だと彼は言う。
問題視されるのは、目的を達したユーザーの前に何度も現れる「アプリで開く」「アプリを入手」のバナーだ。摩擦を減らすというUXの原則に反して いるうえ、広告を向けられている相手はすでに顧客である場合が多い。ホーム画面への常駐、再購入のしやすさ、プッシュ通知——企業側の狙いは理解できるが、それをユーザーの利益であるかのように装うのは不誠実だとSterneは指摘する。
もっとも、アプリに正当な用途がないわけではない。オフラインでの動作、ハードウェアとの連携、ブラウザでは扱いにくい頻繁な通知など、ネイティブならではの価値は確かにある。論点は「アプリか、Webか」ではなく、どちらがその課題に本当に必要かという見極めにある。
結論として彼が促すのは、Webサイトであることを卑下しない姿勢だ。押しつけがましいバナーの代わりに、価値がはっきり伝わる控えめなアプリへの導線を用意し、そのうえで「入れない」というユーザーの選択を尊重する。過剰なインストール誘導が当たり前になった今、日本のプロダクトづくりにも通じる問いかけといえる。









